地域を守るという誇り
「いつもありがとうございます😊」――そんな穏やかな挨拶から始まる日常の中に、もうひとつの顔があります。
それが、消防団員としての自分だ。休日、仲間たちと共に地域の安全を守るための訓練に参加する。
一見、当たり前のことのように見えても、その一回一回には「命を守る」という緊張感がある。
最近の訓練は、昔とは大きく変わってきている。
以前は、事前に指令内容を知らされ、それを想定して動く“段取り型”の訓練だった。
だが今は違う。現場に行って初めて指令が下され、そこから即座に行動に移る――まさに“現場型”の訓練だ。
よりリアルに、より火事場に近い状況を想定した内容へと進化している。
戸惑いもあるが、それ以上に「備える意味」を肌で感じるようになった。
変わる訓練、変わらぬ使命
最近の訓練は、分団ごとに行うのではなく、複数の分団が協力して消火活動を行う形が主流だ。
一人ひとりが自分の役割を果たしながら、同時に全体を見渡す。
これはまさに、仕事にも通じるチームワークの原点だと感じる。
実際、現場では予想外のことが次々に起こる。
ホースが絡まる、通信が途絶える、風の向きが変わる――その度に判断し、行動を変えなければならない。
その緊張感と臨場感は、机上の訓練では得られない。
指令が現場で伝えられ、瞬時に動く。全員が同じ目的を共有しているからこそ、迷いがなくなる。
火を前にしたときの空気の熱さ、ホースを握る手の重み。
それらを感じながら、「地域の命を守る」という使命が自分の中で強くなっていきます。
この“リアルな訓練”を重ねるたびに、自分が地域の一員であることを改めて思い出す。
「もし、明日この町で火災が起きたら――」
その時、自分たちはきっと冷静に動ける。
なぜなら、訓練の中で何度も、仲間と共に“その瞬間”を想定してきたからだ。

訓練の先にあるもの
消防団の活動は、決して派手ではない。
それでも誰一人、「面倒だ」とは言わない。
むしろ、そこには静かな使命感と誇りがある。
地域を守るということは、特別な誰かだけの役割ではない。
家族を守るため、隣人を守るため、そして未来の子どもたちのために。
そんな想いで、今日もホースを持ち、水を出す。
僕自身、仕事では「クリエイション江口」でモノづくりを通してお客様の役に立つことを目指している。
一方で、消防団では「人の命を守る」というまったく違うフィールドで動いている。
でも根っこの部分は同じだ。どちらも「誰かのために動く」ということ。
その想いが、僕の行動の軸になっている。
この地域で生き、この地域で働き、この地域を守る。
そのすべてがつながっていることを、消防団活動を通じて実感している。
地域の方々が安心して暮らせる日常の裏には、たくさんの人の努力と訓練がある。
僕たちは、その小さな積み重ねのひとつを担っているだけかもしれない。
でも、それを「自分の役割」として誇りをもって続けていきたい。
今日もまた、心の中でつぶやく。
――「この町を、守り続けるために。」
【あとがき】
消防団の活動は、地域の絆そのものです。
災害が増える今の時代だからこそ、僕たち一人ひとりの意識が大切になってきます。
訓練で得た経験を生かし、仕事でもプライベートでも「備える姿勢」を忘れずにいたい。
そして、地域の皆さんに安心してもらえるよう、これからも仲間と共に前へ進みます。


