ガンコ汚れと向き合い続けた14年
工場で働く皆さんなら、一度は頭を抱えたことがあるんじゃないでしょうか?
機械の油汚れやスス、手の届かない部分のしつこいカス。
そんな「ガンコな汚れ」に、僕は14年間、向き合ってきました。
「ドライアイス洗浄」という仕事を始めてもうすぐ15年になります。
当時はまだその名前すら知らない人が多く、「それって冷凍食品のドライアイスと一緒?」なんてよく聞かれました(笑)。
でも、実はこれ、とても優秀な洗浄方法なんです。しかも、「擦らず」「削らず」「傷つけず」。
そんな技術で、工場の現場を守る日々。
49歳になった今でも、汗をかきながら現役で続けています。
仕事を終えたときに「助かったよ」「こんなにキレイになるんやね」と声をかけられると、やっぱり嬉しい。
この仕事、やめられません。
ドライアイス洗浄って、どんな仕事?
「削らない?」「水も使わない?」
そんな声が聞こえてきそうですが、それが“ドライアイス洗浄”の面白いところ。
まず、使うのはドライアイス(固体の二酸化炭素)を細かく砕いた「ペレット」。
これを高圧で吹きつけると、瞬間的に温度差と衝撃でクラックが出来その隙間にドライアイスが入りドライアイスの膨張率を使い剥がしていってくれるんです。
しかも、ドライアイスは空気中で昇華して(気体になって)消えていくから、洗浄後に水もゴミも残りません。
「環境にも優しいし、部品も傷つけない」って、まさに現場の味方。
僕たちが担当するのは、印刷機械のインク汚れだったり、自動車部品の油カスだったり、本当にさまざま。
時には「この汚れはさすがに無理じゃない?」という現場にも呼ばれますが、僕はこう思ってるんです。
「俺に任せてくれたなら、やってみせる。」
失敗できないプレッシャーもあります。
でもそれ以上に、期待してくれる気持ちが嬉しくて、いつも以上に気合が入ります。
汚れの向こうにある「ありがとう」のために
仕事中、汗だくになりながらも思うのは、
「この一件の先に、誰かの助かる瞬間がある」ということ。
キレイになった機械がまた気持ちよく動き出す。
それで工場全体がスムーズに回る。
ひとつの現場が良くなることで、そこに関わる人たちの気持ちも前向きになる。
僕はそんな“連鎖”を信じて、今日も現場に立っています。
49歳。まだまだ現役。
足腰に多少ガタは来てるけど(笑)、そのぶん経験と工夫でカバーできるようになりました。
もし、この記事を読んで「そんな仕事があるんだ」と思ってくれたなら、うれしいです。
そして、ドライアイス洗浄の現場に興味を持ってもらえたら、もっと嬉しい。
汚れを落とすだけじゃない。
現場の空気も、気持ちも、ちょっとだけ軽くできるように。
これからも、汗をかきながら走り続けます。